アルコール依存症
恐らく多くの方が、
アルコール依存症について、言及・説明してきたと思う。
私も、管理栄養学科生として、
自分の知識に取り込むためにも、
調べてみることにした。
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アルコール関連問題について
何故、初っ端からアルコール依存症について言及しないか。アルコール依存症だけが身体的、精神的、社会的に問題になっているわけではないからだ。
厚労省が「健康日本21」という、健康増進施策の中に、酒量においてある定義がなされている。
節度ある適度な飲酒とは1日平均20g程度の飲酒
多量飲酒" とは、1日平均60gを超える飲酒
60gというのは、だいたいではあるが、
ビール瓶(中)3本
日本酒3合弱
25度焼酎300ml
に相当される。
何故、ここで多量飲酒を持ち出したか、
理由には多量飲酒者が、アルコール関連問題の多くを引き起こしていると考えられているからだ。詳しくは-アルコール依存症/3.症状【社会的問題】を見てほしい。
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アルコール関連問題は精神病だ
「アルコール関連問題は精神病だ」
精神病と聞くと、うつ病や双極性障害などを思い浮かべるだろう。
そう、アルコール関連問題はそれらと同じ分類にされているのだ。
少々先走るが、アルコール依存症の症状として、飲酒のコントロールができない状態、離脱症状(禁断症状)などが見られるなどがあげられる。
背景として、依存者の飲酒行為は”適応行動”であるとも言えるからだ。つまり、ストレスや不安、うつ状態、配偶者や家族からの愛情が失われる、そんな状況に置かれた依存者は、自らを守るためのサバイバル機能でもあるとされている。
自らの心の維持のために、飲酒行為をすることで、危険にさらされた心を助けているのかもしれない。
しかし、この行為は自身の心、そして体をも蝕んでいるということに気づけていない状態である。蝕まれた結果、次のアルコール依存症となる。
メインである、アルコール依存症についてかなり詳しく書き出していこうと思う。
1.診断基準
WHO(世界保健機関)の定める、ICD-10診断ガイドラインに従う。
2.症状
心理的症状として、まず、飲んではならない状況でも強く飲酒したいと感じてしまう飲酒欲求が生じる。(これを「飲酒渇望」と呼ぶ)
また、行動としては、『今日はこの時間だけ』『今日はこれれだけ』と、飲み初めに決めていても、それ以上の時間や量を飲んでしまう、こういった、自分で飲酒のコントロールができない状態が認められる。この行動の典型的な例として、連続飲酒が挙げられる。
連続飲酒:常に体の中にアルコールを維持しておくため、数時間おきに一定量のアルコールを飲み続ける状態のこと
次に、離脱症状(禁断症状)として、写真の症状が挙げられる。
3.アルコール依存症により起こる問題
【身体問題】摂取されたアルコールは、肝臓にて分解さる。つまり、常日頃多量のアルコール摂取を行うことは、肝臓に負担をかけているということになる。急性肝炎、慢性肝炎、そして肝硬変と、自らの肝臓を破壊に追い込んでいく。沈黙の臓器といわれる肝臓が、限界をこえる(1/3以上の壊滅)と、肝臓の再生は不可能となる。肝臓はアルコールの分解だけでなく、たんぱく質の生成、脂肪の消化を助ける胆汁の生成、体のエネルギー源であるグリコーゲンの貯蔵、人体にとって毒であるアンモニアの解毒など、とても重要な役割を果たしているが、肝臓がその役割を果たせなくなる、今の説明で、その意味がよくわかるだろう。
【社会的問題】アルコール依存症は、自殺、事故、家庭内暴力、虐待、家庭崩壊、職場における欠勤、失職、借金など多くの社会問題に関係している。また、アルコール依存症だけでなく、多量飲酒者においても、常習飲酒運転者の多くが該当するとされている。
Point!
肝臓の病気になりやすい
社会的問題を起こしやすくなる
4.治療
治療においても、
自分がアルコール依存症であるという問題を認めること
断酒をするしか方法がないということ
これらを受け入れる必要がある。
断酒をするしかないって、なんて厳しい…
私もそう思った。
だが、依存患者は、たとえ長期にわたり断酒に成功したとしても、再び1杯お酒に手を付けてしまうと、またコントロールが効かなくなるという、再発準備性に襲われる。そのため、依存患者は生涯にわたり、断酒をしなければならない。
社会に復帰するためにも、長期にわたり、治療を行わなければならない。
治療方法は3段階に分かれる。
①解毒治療
精神・身体合併症(うつ病や不眠などの精神症状と身体症状)の治療と離脱症状の治療。精神・身体症状においては対処療法をとる。
離脱症状においては、離脱症状の悪化を防ぐため、抗不安作用・催眠・鎮静作用のある、ベンゾジアゼピン系薬剤を投与する。(これを入れず、通常の点滴を行うと、離脱症状がさらに悪化する)
2~4週間
②リハビリ治療
精神・身体症状が回復したら、断酒に向け、本格的に治療を始める。
まず、患者に飲酒問題の現実を直面化させ、断酒の決意、断酒継続の治療を行う。
詳しく説明すると、個人的に行う、正しい知識の提供・カウンセリング、集団で行う考え方の変容療法などを行う。
今後(退院後)を見据え、自助グループ(市民団体)による断酒会やAAといった依存症患者らが集まって自己の経験を語り合う、断酒の継続を目的とした会に参加への導入を図る。
また、この時期から、抗酒薬の投与の開始が始まる。ジスルフィラムとシアナミドという2種の薬を用いる。これらを飲むと、肝臓におけるアルコール分解酵素(ALDH2という酵素)の働きが阻害される。それにより、この抗酒薬を服用しているときに、飲酒をすると、非常に激しいフラッシング反応(簡単に言うととんでもなくお酒に弱くなるという状態)を引き起こす。
約2か月
③退院後のアフターケアー
基本は、患者の断酒継続の支援を行う。また、患者が再飲酒した場合は、速やかなる治療を行う。
病院やクリニックへの通院
抗酒薬の服薬
自助グループへの参加
この3点がアフターケアーにおいて柱となり、
有効性が確認されている手段である。
9~12ヶ月
治療患者の中で断酒している人の割合は、
2-3年:28~32%
5年前後:22~23%
8-10年:19~30%
となっている。減少はしているものの、5年以降では20~30%近くが断酒ができている状況である。
こうして、初めてアルコール依存症ついて、私も勉強したが、やはり、患者が現実問題を受け入れること、いかに周りの環境が患者を支えることができるのか、ここがとても大事だと考えられる。
患者が現実問題を受け入れるにも、松岡くんが言ったように『お前は病気だ』と言って気づかせてやることがいいのか、本人の話を傾聴・共感しながら、受け入れつつ、気づかせるのがいいのか。
周りの環境が患者を支えるといっても、どう手助けをすればいいのか、話を聞き、アドバイスをするべきなのか、手助けをするとまた、、。
間違いなく本人が1番葛藤するだろうが、周りで支えていく人達も矛盾と見えない正解にかなり頭を悩ませていくことだろうと感じる。でも、また…という希望を少しでも持っているのであれば、支えてあげてほしい。見捨てるのは非常に簡単で、再び同じ状況にだって簡単に戻すことができる。でも、今回のこの件があったからこそ、絶対に見捨ててはならないと私は思っている。TOKIOが4人でも謝罪会見をしたように、治療においても、彼の今後の人生においても、全員で向き合う、全員での問題なのではないかと考える。私情をだいぶ挟んでしまったが、これくらいで終わろうと思う。
-表1.2の引用元・参考文献
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_alcohol.html
eヘルスネット フラッシング反応とは
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-008.html
課題もやらずにこれをやり切る意欲だけはあったなんて、ヲタクまだまだ元気だなって思う。